法的側面について

法的側面について

ビザについて


外国人が日本で仕事をするには就労ビザが必要です

 

外国人が日本で就職して働くために日本に入国・在留する場合、これに関する基本的事項は「出入国管理及び難民認定法」に定められています。

在留資格は以下となります。(出入国在留管理庁ホームページより)

http://www.moj.go.jp/isa/content/930002260.pdf

 


1. 職種、業種を問わず就労可能な在留資格


「永住者」

「日本人の配偶者等」

「永住者の配偶者等」

「定住者」



上記の在留資格を有する方は、日本国内での活動に制限はありません。どのジャンルの職種であれ、自分の就きたいと思う仕事があれば、入社試験を受け合格すれば働くことができます。また、自由に転職することもできます。

 

2. 一定の範囲内の職種、業種、勤務内容に限って就労が可能な在留資格



 上記1以外の方は下記の就労ビザがあれば、日本で働くことが可能です。

 


 

「外交」、「公用」、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職1号」、「高度専門職2号」、「投資・経営」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術」、「人文知識・国際業務」、「介護」、「企業内転勤」、「興行」、「技能」、「技能実習」、「特定技能」、「特定活動(条件による)」

3.    以下の在留資格は就労不可です


「文化活動」

「留学」

「短期滞在」

「研修」

「家族滞在」


*「留学」の場合:資格外活動許可を受ければ、週28時間以内(夏休み等の長期休暇期間中は特例として週40時間以内)のアルバイト就労が可能です。留学生が卒業後日本で就職する場合は留学ビザから就業ビザに切り替える必要があります。


*「家族滞在」の場合:資格外活動許可を受ければ、週28時間以内のアルバイト就労が可能です。ただし、扶養者を超えるほどの収入を受けると家族滞在に該当しません。


就労ビザの手続き

1. 雇用する外国人が海外にいる場合


「在留資格認定書交付申請」の申請

「在留資格認定書交付申請」の公布(約1ヶ月後)

在外日本総領事館にて本人が査証申請、発給

上陸申請を行う



2. 雇用する外国人が既に日本にいる場合

 

「在留資格」の確認

雇用契約書の作成

必要であれば「在留資格」変更許可申請


就労ビザの申請時の審査ポイント

 

 

①将来的に見ても、不法就労になる可能性はないか

②外国人労働者を低賃金労働者として考えて雇用していないか

③外国人本人の素行は問題ないか

が入国管理局のチェックポイントだといわれています。

 

 

*ビザ取得は本人出頭が原則ですが、来日していない場合ほとんどのケースが代理人・取次者の申請となっているのが現実です。

 

必要書類



ビザ申請人本人が用意する書類(一例)

 

・ビザ申請者の本人名義のパスポート(または渡航証明書)及び在留カード

・証明写真

・在留資格変更許可申請書

・入国管理局宛ての申請理由書

・履歴書

・(勤務経験がある場合は)前職の在職証明書

・卒業証明書(または卒業見込証明書)

・語学試験の合格証明書

・返信用封筒(簡易書留用)


*外国語で書かれた書類には、すべて日本語訳が必要となります。

 


雇用主が用意する書類(一例)

 

・法人登記事項証明書(登記簿謄本)

・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し

・雇用企業等の決算報告書の写し

・入国管理局宛ての雇用理由書

・雇用契約書の写し

・会社案内

 

*外国語で書かれた書類には、すべて日本語訳が必要となります。

 


不法就労


次の場合は不法就労となります。

1、就労できる在留資格であっても、資格外活動の許可を得ずに在留資格で認められる範囲外の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行った場合

2、就労できない在留資格であり、資格外活動の許可を得ていないにもかかわらず、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動に従事した場合

3、定められた在留期間を超えて滞在し、就労した場合

こうした就労は、入管法上の不法就労活動に該当し、退去強制又は刑事罰の対象となります。


労働関係法


 

労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法 等については、外国人労働者にも適用されます。

また、労働基準法第3条は、労働条件面での国籍による差別を禁止しています。

(一例)

-労働時間、休日

法定の労働時間は、1日8時間、1週40時間(一部の規模・業種の事業場については44時間)となっています(労働基準法第32条、第40条、第131条)。 法定の休日は、週について1日又は4週について4日以上とされています(労働基準法第35条)。

-労働条件の明示

使用者が労働者を採用するときは、賃金、労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければなりません。明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は即時に労働契約を解除することができます。(労働基準法15条)

-賃金の支払い

賃金は、通貨で、労働者に対し直接に、全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければなりません。(労働基準法第24条)

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、 その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければなりません。(労働基準法26条)

-解雇の予告

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りではありません。(労働基準法第20条)

-最低賃金

使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。(最低賃金法第4条)

-交通費

交通費の支払いについては法律で定められていませんが、就業規則で定められている必要があります。契約時に確認する様にしましょう。

-年次有給休暇

使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者 に対して、継続し、又は分割して10労働日に有給休暇を与えなければなりません。(労働基準法第39条)

参考:厚生労働省、年次有給休暇の付与日数

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf

 

 


保険について

 

雇用保険法の適用についても、日本国で就労する外国人の方については、原則として、国籍のいかんを問わず被保険者として取り扱うこととしています。



これらの社会保険は、アルバイト・パートの短時間労働者や扶養範囲内の労働者であっても、下記の要件を超えれば加入義務が発生します。

・社員の労働日数または週の所定労働時間の4分の3以上
(30時間以上)

又は以下の要件5つ全てを満たす方

①   週の所定労働時間が20時間以上
(労働日数:月の3/4以上)

② 雇用期間が1年以上見込まれる


③ 月額8.8万円以上の収入を得ている


④   学生ではない

⑤   501人以上の企業である


(*501人未満の企業であっても、勤務先の会社において労使の合意がなされれば社会保の加入対象になります。)



(*現在のところ、各事業所単位で判断を行うことになっており、2ヶ所以上の事業所における月額賃金や 労働時間等を合算することはしません。) 


*ワーキングホリデーで滞在する場合も「厚生年金保険」「健康保険」「労災保険」は日本人とおなじ加入基準が適用されます。

しかし滞在の目的が「就労」ではなく「休暇」のため、雇用保険の対象とはなりません。


労災保険


 労働者災害補償保険法により、労働者を1人でも雇用する事業は労災保険の適用事業となります。 業務遂行中や通勤中に、事故や災害などでケガをしたり病気になったり、身体に障害が残ったり死亡したりした場合に保険金が給付される制度です。労働者等の請求により、次のような保険給付、支給がなされます。

 

1.けがや病気で治療を行う場合:「療養補償給付」等が支給されます。

2.けがや病気の療養のために仕事を休み賃金を受けていない場合:4日目から「休業補償給付」等が支給されます。

3.身体に障害が残った場合:「障害補償給付」等が支給されます。

4.療養しても、ケガが治らなかった場合:「傷病補償年金」等が支給されます。

5.介護が必要になった場合:「介護補償給付」等が支給されます。

6.労働者が死亡に至った場合:「遺族補償給付」等が支給されます。


 


健康保険


 適用事業所に常用雇用される限り、外国人にも健康保険が適用され、これに加入する必要があります。 また、常用雇用関係にない外国人についても、外国人登録を行い1年以上日本に滞在することが見込まれる者は国民健康保険の適用になります。

 健康保険に加入することにより、被保険者やその被扶養者が病気やけがをし診療を受ける場合に、必要な医療給付や手当金が支給されます。


厚生年金保険


法人事業所、ならびに常時5名以上の従業員がいる個人事業所で、加入が義務付けられています。日本に住所を持っている20歳以上60歳未満の人であれば国籍問わず加入義務があり、常用雇用関係にない外国人についても、外国人登録を行っている者は国民年金保険の適用になります。

 年金保険に加入することにより、労働者の老齢、障害死亡などの場合には、保険料から年金や手当金が支給されます。

 また、日本で年金保険に加入していた外国人は1995年4月から、出国後、請求手続きをすることにより脱退一時金が受けられます。 脱退一時金は原則として次の条件のいずれにも該当する者が、出国後2年以内に請求したときに支給されます。

1.日本国籍を有していないこと

2.厚生年金又は国民年金の保険料を6カ月以上納めていたこと

3.日本に住所を有していないこと

4.年金の支給を受ける権利を有したことがないこと


雇用保険


雇用保険は、週の所定労働時間が20時間以上、31日以上の雇用見込がある人を雇い入れた場合は適用対象であれば適用される保険です。手続きの際は在留カードが必要となります。


介護保険


「介護保険制度」では、3ヶ月を超えて日本に在留する、40歳以上の外国人社員は加入しなければなりません。これにより日本在留中に介護が必要となった時には、日本人と同様の介護サービスを受けることができます。

 


労働に関するトラブル時


労働に関してトラブルが発生した時に相談できる主な機関は以下になります。管轄や調査方法、料金などは様々なので目的に合った機関に相談しましょう。



・厚生労働省 総合労働相談コーナー

https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

・厚生労働省 労働基準監督署

https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/index.html

・厚生労働省 外国人労働者相談コーナー

https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/soudan/foreigner.html

 


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